あ行

【あ】
◇IADL

Instrumental Activity of Daily Livingの略で、排泄・食事・就寝等、日常生活の基本動作ADL(日常生活動作)に関連した、手段的日常生活動作能力のこと。
買い物・お金の管理・料理・外出・公共交通機関の利用・車の運転・電話・掃除・趣味活動等の幅広い動作が含まれ、ADLよりも自立した日常生活をおくる高い能力を指します。

◇アドボカシー advocacy

介護用語としてのアドボカシーは、自己の権利を表明することが困難な寝たきりの人や、認知症の高齢者、障がい者の権利擁護や、ニーズ表明を支援し代弁すること。

◇アルツハイマー病

1906年、ドイツの精神科医アロイス・アルツハイマーによって報告された、脳が委縮する原因不明の進行性の病気。
アルツハイマー型認知症はその症状のことで、認知症の原因疾患のなかで最も多いとされています。発症時期によって初老期(早発型)、老年期型(晩発型)にわけられ、記憶障害、見当識障害、視空間失認などの中核症状のほか、妄想など多様な周辺症状(行動・心理症状)が見られます。

◇圧迫骨折

腰の椎骨が、転倒や尻もちなどを原因に骨に対して縦方向に強い圧力がかかったときに、つぶれるような形で折れる骨折のこと。
高齢者における圧迫骨折では、骨粗しょう症に起因することが多く、腰が大きく曲がった状態の高齢者は圧迫骨折を伴っていることが多いとされています。

◇アシドーシス

血液の酸と塩基のバランスが乱れ、正常のpH(ペーハー)7.4よりも酸性化に傾いた状態のこと。
代謝性アシドーシスと呼吸性アシドーシスがあり、代謝性では吐き気や疲労など、呼吸性では頭痛や錯乱などの症状がでる

◇アテローム

皮膚の毛嚢や皮脂腺にできる粉瘤(ふんりゅう)と呼ばれるしこり、腫瘤のこと。
脂肪や脂肪酸、角質などが溜まってできます。また、動脈硬化の原因になる血管の壁にできる粥腫の内容物は、コレステロールや血管の修復にかかわるマクロファージなどでできています。

【い】
◇移乗介助

ベッドから車椅子へ、車椅子から便座、浴槽など、日常生活の中の乗り移り動作のことを移乗といいます。
移乗介助は、介護職が行う基本的技術の一つで、転落などのインシデントを防ぎ、安全に行うことが求められています。

◇一次判定

要介護認定を申請した被保険者に対し、介護認定調査員による質問調査をもとに要介護度を判定すること。
介護認定調査票のコンピューター入力により判定されます。この結果は最終的な決定ではなく、介護認定審査会において専門家が審査する二次判定が行われ、要介護度が決まります。

◇1割負担

介護保険の利用者が、サービス利用料を自己負担する割合のこと。
利用者の所得により2割負担となる場合があります。

◇医療ソーシャルワーカー

主に医療機関や介護保険施設、地域包括支援センターなどに勤務している福祉の専門家のこと。
メディカルソーシャルワーカーともいい、略称はMSW。社会福祉士の資格を有し、患者や家族の経済・社会・心理的な相談に応じ、問題解決のお手伝いをします。

◇胃ろう

口から食事がとれない人や嚥下障害がある場合など、経口的な栄養摂取が困難な人に対して、胃と皮膚に人工的に穴をあけてチューブを設置し、直接水分や栄養を流入させる処置のこと。

◇インシデント

「ヒヤリとした」「ハッとした」など、重大な事故には至らなかったものの、その可能性があった事例のこと。ヒヤリ・ハットとも。
インシデントには様々な事例があり、その経験を検証し、起こりうる事故を想定しながら介護を行うことが大切です。

◇インテグレーション

社会福祉を推進する上での基本的な理念。
日本語で「統合」を意味します。介護が必要な人や障害を持った人が、他の人と差別なく、日常生活に支障なく生活できるよう援助したり、問題解決にあたることをいいます。

◇インフォームドコンセント

説明と同意を意味します。
医師が治療法などを一方的に決めるのではなく、患者や家族に対して、病状や診療の目的、選択できる治療法の長所・短所、治療効果など内容を説明し、患者や家族が同意したうえで治療を行なうこと。介護サービスにおいても、利用者と提供者、医師などの間で必要となっています。

【う】
◇うつ病

精神的な低調により、気分の低下や不眠症、不安感や焦燥感、食欲不振、意欲・興味・精神活動の低下など様々な症状を引き起こす精神疾患の一種です。
高齢期に入り発症したものは「老年期うつ病」と称され、認知症の症状と識別が難しく、治療法も異なるため注意が必要です。

◇上乗せサービス

介護保険で利用するサービスが、要介護度に応じた支給限度額を超える場合、市町村の独自の判断で加算(上乗せ)し、サービス利用を増やすことを上乗せサービスといいます。
訪問時間の延長なども上乗せサービスにあたります。社会福祉協議会やNPO、企業などが行うサービスを選べることもあります。

◇運動療法

身体に障害のある者に対してその基本的な動作能力を回復させるために、治療体操などの運動を科学的に用いる治療法のこと。治療体操、機能訓練ともいいます。

◇運動機能障害

運動機能障害とは、運動神経経路の疾病などにより両手・両足・身体に一定基準以上の運動機能の障害が認められることです。
軽度の運動神経欠陥から、日常生活にも支障をきたし専門医の治療やリハビリを受ける必要のある肢体不自由まで様々です。

【え】
◇ALS

ALSとは筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)Amyotrophic lateral sclerosisの略で、運動神経が侵される進行性の神経難病のこと。
特定疾患治療研究対象疾患のひとつです。手足・のど・舌の筋肉が徐々に衰え、会話、食事、呼吸することさえも難しくなります。

◇ADL

Activities of Daily Livingの略で日常生活動作のこと。
人間が一般的な生活を送る上で必要な基本的な動作、食事、着替え、排泄、入浴、睡眠など。

◇ADL訓練

病気やけが、寝たきりなどによってできなくなった日常の生活に必要な基本動作、食事、排泄、着替え、入浴、移動、歩行などが再び自立してできるように指導する日常生活動作訓練のこと。
主に作業療法士の指示のもと行われます。

◇エアマット

空気を入れて体圧を分散させるビニール製のマットレスのこと。
床ずれ・褥瘡を予防するために使用します。介護保険の福祉用具貸与対象品のため、必要と認められれば1割または2割負担で借りることができます。

◇壊死

壊死とは、正常に機能している体組織や体細胞が、様々な理由により死滅すること。重度の床ずれや凍傷では皮膚の壊死が見られます。

◇壊疽

壊疽とは、四肢などの血行障害によりその末梢組織が壊死し、その合併症として周囲の腐敗などを伴い紫色や黒色に変色した状態のこと。
高齢者では糖尿病に影響されることも。

◇MRSA

Methicillin-resistant Staphylococcus aureusの略で、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌のこと。
多くの人が持っている常在菌の1つですが、免疫力の低下した高齢者などが感染すると日和見感染を引き起こします。いわゆる院内感染を引き起こすウイルスであり、メチシリン以外にも多くの抗生物質などに対する耐性を持ち、最悪感染者が死亡するケースもあります。

◇MDS-HC方式

包括的なケアプランを策定するための指針として在宅ケアのために開発されたひとつの方式のこと。
現場に役立つことを第一の目的とし、評価に当たっては高齢者の機能とQOLを重視。必要に応じて専門機関に照会すべき状況についても提示されています。アセスメントを通じて、医療関係職者には福祉の知識が、また福祉関係職者には医療の知識が補完されるように工夫されています。ほかにも、訪問看護財団方式などいくつかの方式がります。

◇嚥下障害

疾病やその後遺症、老化などが原因で、食べ物がうまく飲み込めない、むせる、飲み込んだものが食道につかえるといった障害のこと。
誤嚥性肺炎の原因となることから、胃や腸の消化管に問題がない人は、栄養摂取に経管栄養や胃瘻を必要とすることがあります。

【お】
◇黄疸

黄疸とは、肝臓や胆嚢に異常があり、血中に流れるビリルビンという代謝物質が体内に溜まることで、白目や皮膚が黄色く変色する状態をいいます。

◇オストメイト

癌や事故などにより消化管や尿管が損なわれたために、腹部などに排泄のための開口部ストーマ(人工肛門・人工膀胱)を造設した人のことを言います。
人工肛門保有者、人工膀胱保有者とも呼びます。

◇音楽療法

音楽が持つ心理的な働きかけを利用して、身体的健康や精神的健康の回復と維持を図り、生活の質の向上を目指す心理療法の一つ。

◇オンブズマン


大学職員・弁護士、一般市民などで構成された、福祉サービスや行政の不正を監視し、家族や入所者の相談にのってくれる人のことをいいます。
近年は、認知症高齢者の権利を擁護する機関も増えてきています。